2004年12月09日

ラン・トゥ・ユー

maboroshi.jpgこの世の中には知らなくてもいいけど、知っておくと何かの時に役に立つ珍作・怪作・迷作な映画がいくつかあるのだが、壮大な失敗作という意味では「幻の湖」は突出した存在だろう。断っておくが「デビルマン」のように存在自体が罪な映画は別な意味で突出しているのであって、「幻の湖」とは同列に並べることは許されない、つーか許さない。
リンク先をamazonとしたのは、amazonのサマリーがあまりにも良く出来ているため。まあ本作を要約するのは不可能なので、決して「正確」ではないが。
amazon曰く。

>橋本忍が贈る奇妙なSFドラマを初パッケージ化。
>何者かに愛犬を殺されたソープ嬢・道子は復讐を誓い、犯人を捜し始める。
>実はこの復讐劇には戦国時代からの怨念が絡んでおり、
>さらに事態は政府の宇宙開発を巻き込み、ジョギング対決へと発展していく。

ちなみに主人公は正確には「ソープ嬢」ではなくトルコ嬢である(同じだッて!)。
橋本忍という人は、ご覧の通りの超巨匠だったりするのだが、「七人の侍」「砂の器」の脚本家をして、その輝かしいキャリアを全て帳消しにしてしまったに違いない本作の内容は、一見、分裂症の作文みたいな上記梗概に要約される「奇妙なSFドラマ」である。ちなみに、特撮(!)は「マタンゴ」の中野昭慶。哀愁すら感じさせるショボイ特撮で観る者を釘付けにしてくれる。しかもラストシーンで。
その衝撃度合いは是非、「幻の湖」+「宇宙パルサー」でググっていただきたい。死ぬほどヒットするから。しかし、どのサイトも概ね「爆笑ものの珍品」扱いで、場合によっては本気で貶しているのが残念でならない。案外好きだったりするのよ、俺、この映画。確かに、あまりにも突飛な展開は人によっては噴飯物だし、爆笑物の迷台詞(多分、橋本忍的には大真面目)のオンパレードが許せない人もいると思う。
しかし、戦国時代の逆さ磔から、宇宙空間での船外遊泳まで、土曜ワイド劇場女優、南條玲子演じる「お市さん」の生き様を、犬と出刃包丁をキーに、暗躍するアメリカ人トルコ嬢=実は巨大諜報機関のエージェントとの交流も交えつつ、ただ只管に女が走り続ける描写によって(無理矢理)描き切ったこの2時間40分の力作をただ笑って見過ごすのはあまりにも惜しいと思えるのだ。
とか内容について書いてる俺が、何か頭おかしいこと書いているように見えてきたよ。ともあれ、ご覧になった方がいらっしゃったら、是非、感想をお聞かせください(「北京原人」とか「さよならジュピター」の感想でも可)。
では、最後に、1982年映画公開時の橋本忍からのメッセージを紹介しておこう。

>誰もが走っている。
>みんなが走っている。
>ただ遅いか早いか、走っていることを意識するしかないかだけだ
>「砂の器」は宿命的な親子の旅だった。
>「八甲田山」は白い地獄の雪の中を這いずりまわる群像たちの喘ぎだった。
>三作目の「幻の湖」は、怒りを追い、夢を追い、涙と愛を追い、
>彼岸の彼方の永遠のロマンを追い、ただ走り続けるものを描きたい。

というわけで、橋本忍先生自身が彼岸の彼方へぶっとばされてしまいましたとさ。合掌。
posted by 西中島・南方 at 22:04| Comment(0) | TrackBack(1) | ムービー★スター | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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カタナーマンと幻の湖
Excerpt: カタナーマンは幻の湖へのオマージュだ 先日の「ワニガメ任侠伝」で市川徹監督を発見し、他の作品を探してみつけたこの「刀男カタナーマン」。 下記オフィシャルHPでも、 http://www.wild..
Weblog: B級大好き 自転車太助の、ほっこりブログ
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